たった一冊だけ彼女が訳した「愛しのろくでなし」を読んだのが
彼女を知るきっかけで。ずーっと「翻訳家」だとばかり思っていた。
ロクデモナイ男と知りながらそれでもなおかつひたすら愛してしまう女たちに
一種の甘やかな、それでいてどうしようもなくひきづられる気持ちに共感を感じて。
他の翻訳はないかと探していたら。
見つかったのが「大統領のクリスマスツリー」だった。
タイトルから、その本も翻訳書だろうと思って。
読み始めたら、彼女自身の小説なのを知って、驚いたのだが。。
男と女が織りなす切ない気持ちがありながら結局は潰れてしまう互いの儚さに
またなんとなく惹かれるものも感じて。
デビュー作の「川べりの道」や「駆ける少年」など文庫になっているものはことごとく読みふけった。
あの若い日に「川べりの道」のような小説が書けたのかと思うと。
彼女がなぜそんなにも生き急がなくてはならなかったかと。
若い頃の私は、死をいつも身近に見据えて暮らしていた時代も持っていて。
生きることが面倒になる気持ちもなんとなく理解はできるし。
精一杯生きて力尽きたとは思うのだが。。
それにしても「結果を早く出しすぎたのじゃない?」と。
惜しいと言いたい気持ちはいつも残っている。