日本からどっさり。新の「銀杏」が届いた。フランスにも公孫樹はあるが、銀杏が実っているのは見たことがない。
母の従弟に寺の住職がいて、
境内に植わっている大公孫樹の実がポツポツと落ちると拾い集めて。
数がたまったらよく洗って乾かすのだという。
その銀杏を毎年「季節のもんやから」と送ってくれる。
今年のはまた大粒で、量もたっぷり、早速、殻を割って胡麻炒り器で炒った。
殻の焦げる、なんとも言えない匂いが台所に漂う。
封筒に入れて電子レンジでチンしたらいいと教えてくれた人もいるが、
殻の焦げる、銀杏の焼ける匂いの香しさに惹かれて、炒ることにしている。
炒り上がった銀杏はまず塩だけつけて食べて。
残りは玄米とスペルト小麦の混ざったご飯に入れた。
秋の香りと呼べそうな美味しいご飯になった。
銀杏の植えられている寺は生駒山の中腹に建っていて。
50年も前はまだ周囲に田んぼがあった。
山の斜面の田に水をひくために、用水路をめぐらしてあちこちに溜池が作られていた。
秋祭りが近づくと溜池を干して、飼い放している鯉や鮒を祭のご馳走に使う。
大きな鮒一匹を姿なりで昆布巻きにしたものを、祭に遊びに行った従兄の寺でよばれた。
「2日ほどかけて炊いたんや」と大きな火鉢にアルミの鍋がかかっていて
はじめ見たときは「真っ黒けのすごい昆布巻きやなあ。。」と思ったけれど
食べると鮒の身がほろほろして意外と美味しかった。
その頃、生駒山から近鉄線に乗って大阪市内に降りてくると。
青々した田んぼの中に幾つもの溜池がキラキラ輝いて見えたものだが。
今はもうそんな光景はどこにもない。ぜーんぶ田んぼが瓦屋根に変わってしまい。
あの昆布巻きも「幻の食べ物」になってしまった。