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煌めく光の中で


by fusk-en25

夜を日に継いで読んだ本・ 今江祥智

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ぼんぼん、兄貴。おれたちのふくろ。そして牧歌。
今江祥智の4部作には思い出がある。
10年以上も前になるが
パリのブックオフで新潮文庫の「ぼんぼん」を見つけて読んだ。
続きが「ぼんぼん」を含めて4部作になっていて
他のどれもまだ文庫にはなっていなかった。
しかも単行本もその頃、絶版に近いという。
本がまだネットで手に入る時代でもなかった。
読みたい読みたいと騒いでいたら。
いつも私に本を見つけて送ってくれる友達が5泊6日だったか
7泊8日かパリに来ることになり。
友達の妹がそれなら図書館で借りて持っていったらどうかと思いつき
借りてきてくれた。
さあ5日間ぐらいでこの3冊を読み終えれるかどうか。
勿論。夜を日に継いで。読んだ。読んだ。
彼女が帰る一日前ぐらいに読み終えて返せたから
思い残すことはなくなったが。。
「かえって忙しい目をさせてしまいましたね。」と妹さんには言われたが
私は大満足だった。
その後4部作をこんな風に読んだ話をまた別の友達にした。
その本なら持っていると言って
パリに来た時に3冊揃えて持ってきてくれた。
本が手元にあるのは本当に嬉しい。幸福な気持になる。
空襲で焼け出されるまでの大阪の話から始まるぼんぼんは
特に地名にも懐かしさを感じて。あの頃の大阪を彷彿される話に惹かれる。

小説をリアルにするために作家は色々工夫をするのだろう。
話の筋には直接関係のない 料理や釣りや花の話を
小道具として巧みに使うことによってより深みのある文章が出来てくる。
今江祥智はその小道具に「方言」を上手に取り入れていると思う。
生まれ育った大阪弁に加えて
疎開先の和歌山弁。新任で勤めた名古屋の。兄に会いに行く四国の言葉。
どれもそれぞれの言葉から生き生きした感情が伝わって来る。
ぼんぼんの他にも「冬の光」や「優しさごっこ」を読んだ。
どれも好きな小説で、この続編が書かれなかったのを残念に思う。
Commented by tawrajyennu at 2016-01-16 18:09
初めまして・・・
黒い森の白いくまさんのところから来ました。
懐かしい今江祥智さんの「ぼんぼん」に思わずコメントしました。
この本は私が奈良に越して来てすぐ、大阪の知人のところで見かけ、借りて読んだものです。
夫の育った大阪のことが乗っていて、夢中で読んだのを
覚えていますが、これが4部作になっているとは知りませんでした。
読んでからもう20年以上・・・いやもっと経っているでしょうか。
もう一度この4冊を読んでみたくなりました。
Commented by fusk-en25 at 2016-01-16 20:20
tawrajyennuさん
はじめまして。
私は大阪市内ではありませんが
ごく近いところに生まれ育ちました。
関西弁と大雑把に言ってしまえない言葉の響きを
今江祥智さんの本から漂ってくる気がします。
これからもどうぞよろしく。
by fusk-en25 | 2016-01-16 06:14 | 本を読む | Comments(2)