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煌めく光の中で


by fusk-en25

もう一つの不思議な再会。。。


40数年ぶりに再会できた友のことを書いたが。
その年は。もう一つ不思議な。。奇跡としか呼べない様な再会もあった。

ある日の昼下がり 女の人から電話がかかってきて
「覚えておられないかもしれませんが。
40数年前に南仏のマルセイユでお世話になった⚪︎⚪︎です」と言われて驚いた。
1973年の3月から5月にかけて南仏の小さな町で暮らしていた時。
何気なく「マルセイユでも行ってみようや」と夫が言い出し 電車に乗って行った。
あまり下調べもせずふらりとでかけたマルセイユは
移民の多い地区に行ってしまったのか
ごみごみしてゆっくりできそうにもない雰囲気だった。
早々に散策を切り上げて駅に戻り帰りの電車を待っていたのだが
その頃の国鉄はマルセイユほどの大きな駅でも電車の数も少なく。
切符を売る窓口は電車が通る20分か30分前でないと開かない
やたらローカルなシステムで切符を売り出される時間まで待合室にいたのだが
そこにアジア人のピチピチした女の子がやってきてなんと日本語を話した。
彼女は日本人だから当たり前だが、
当時南仏には、日本人どころかアジア人を見かけるのも少ない時代だった。
「切符まだ売り出されてませんよね。。」
「ここの改札遅いなあ」などとたわいない言葉を交わすうちに、
何気なくふと「うちに遊びに来ない」と誘ってしまった。
普段そんなことは滅多にしない性格の私達夫婦なのだが、
女の子の清潔な雰囲気に好感が持てたのだろう。
人間との関わりに少し飢えていたのかもしれない。
彼女は今日はちょっとどこかに行ってみようかと出てきただけで
旅の準備がないから明日伺ってもよろしいかと言って
翌日 本当にやってきて、3日ばかり泊まっていった。
ウイーンに声楽を勉強するために留学している間に
夏期講座でフランス人と恋に落ち彼の住む南仏に来て。
その日は喧嘩をしてむしゃくしゃし どこかに遊びに行きたくて駅に来たらしい。
私達はその後南仏の部屋を引き払い
3ヶ月ほどまた旅を続けながらパリ経由で
日本に帰ってしまったから彼女とも音信不通になったが。
あの娘どうしただろうねえと思うことは何度かあった。

そしてそれから40数年を経て。
社会心理学のカウンセラーをしている息子が3ヶ月間だけ
パリのミニコミ誌に診療所の広告を載せた。
その記事を結婚してパリ近郊に住んでいる彼女が目にして。
息子の診療所に電話をかけ 南仏に滞在していたかどうかを尋ねると。
「僕は知りませんが両親は確かに住んでいました」
と答えた息子から 私の電話も知れたのだと。
その頃1歳だった息子が。事情を知っていた筈はないと後で大笑いしたが。
たった一枚のミニコミ誌に短期間掲載された広告で知人の消息が知れたなど。
まるで奇跡のような事柄だった。

彼女は30数年の滞在中に色々な日本人に出会いはしたが
その中でも忘れがたい家族で消息を知りたかったと。心にかけていてくれていて。
夫が2年前に亡くなっていたのを「会いたかった」と悔やんでもくれた。

1973年。南仏にて。。。この子供が今や40過ぎの歳になっている。。。
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Commented by hairpriori at 2016-01-15 12:44
嬉しい再会ですね

私もパリでアパルトマン貸してくれた
フランス人のおじいちゃんに
今会いたいです
Commented by fusk-en25 at 2016-01-15 19:58
hairprioriさん
私にも会いたがって。。。笑。
パリに来られた時は。
Commented by hanamomo08 at 2016-01-16 22:45
わ~本当にうれしい再会でしたね。
今日のブログを読んでいて、fuskさんも、その女性も知らない方なのに涙が出そうになりました。
可愛い坊やを抱っこしているfuskさんの写真、輝いておりますね。
この坊やがいなかったら、その女性とも会うこともなかったかもしれないですね。
この記事を読んでいたら私にも合いたい人が何人かいるな~と思いました。
人の縁は不思議ですね。
すれちがっても縁のない人もいるし、たった一度だけでも深く印象に残っている人もいます。
いいお話をありがとうございました。
Commented by fusk-en25 at 2016-01-17 00:08
hanamomo08さん
本当に不思議なことって起こるのですね。。。
息子が広告を出したミニコミ誌は確か2週間に一回の発行で
広告というよりお知らせ欄みたいなのだから普通なら通り過ぎてしまいそうなのに。
息子の名前を覚えていて、まさか私たちがまだここに住んでるとは思えなかったけれど。
ひょっとしてと思って電話してみたと言うことでした。
奇遇としか言いようがない出来事でした。
Commented by pallet-sorairo at 2016-01-17 09:45
カメラを構えている人の愛情に満ちたまなざしが
ひしひしと感じられる写真。
とっても素敵で、息を飲みました…。
何度拝見しても素敵すぎて
やっぱり、コメントせずにおれませんでした。
Commented by fusk-en25 at 2016-01-17 19:41
pallet-sorairoさん
ありがとうございます。
夫が聞いたら照れるだろうな。。
何しろ夫婦とも26歳。若かった(バカだった。笑)
後先考えずに暮らしていた半放浪の毎日でした。
by fusk-en25 | 2016-01-15 10:05 | 追憶 | Comments(6)