煌めく光の中で


by fusk-en25

ミモザが咲く頃。。

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連翹や梅は満開。桜もちらほら咲き出して。
気温は相変わらず13度から15度ぐらいの花冷えの感じだが
日照時間が長くなり、花が一斉に開き始める。
たまたま降りたメトロの駅のそばに綺麗なミモザが咲いていた。
かつてこの花に惹かれて、パリから南仏に移動した時代が。。。。

1973年の9月に1歳の赤ん坊を連れて。
パリ15区の小さなアパートに住み始めた。
当初は「黄葉もそれなりにシックねえ」と思える街路の綺麗さにも見とれて。
初めての異国暮らしにいくらか興奮もして、クリスマスの行事も楽しんでいた。
クリスマスの朝 買い物に行った家の前の小さな万屋のおばさんが息子に
大きなサンタクロースの形をしたチョコレートをくれて驚いたり、喜んだりしたものだった。。

年が明けて1月半ばだっただろうか、
もう毎日。陽が差すことがなく、どんよりした曇り空ばかりの日々。
暖房の効いている室内こそ快適ながら 外に出ると身を切るような凍える寒さで、ゆっくりと散策もできない。
どんよりと曇った鬱陶しい日が続くのに。とうとう ねをあげてしまい。
まるで「灰色の箱」に閉じ込められているような圧迫感すら感じ出した。

フランス語も全くできなかったその頃。
日本から、朝吹登水子の「おしゃべりフランス語」の会話集は持って来ていた。
何気なくそれをめくっていると、
「3月になると南仏は全山がミモザの色で黄色に輝く」と書かれている。
ミモザ?黄色?全山?。。。花屋でしか見たことがないミモザが群れ咲く?
それを想像すると、もう居ても立っても居られない。
夫に行ってみたいと話すと彼も鬱陶しい毎日には草臥れていたのだろう。
見にいこうと言い出した。

「拾われる」に書いた方に、 http://kiramekuhi.exblog.jp/27591451/
「ミモザを見に行きたいのやけど」と相談して見た。
「行っといで。。2ヶ月ほどしたら知人がパリに住みたいと言って来ているから
その人にあの部屋を借りさせよう。後始末は全部やってあげるからいつ出発してもいいよ」
と言ってくださった。渡りに船とはこのことで。。大急ぎで準備を始め。
家財道具と言っても家具付きの部屋だから。住み出してからいくらか買った生活必需品と、
持って来たトランクに着替えを詰めて知人が買ったオンボロの中古車を借りて、
2月末に、南に向けて出発した。
凍えた道中をひた走り。何度かは安ホテルに泊まりながらひたすら南に。
ナポレオンロードと言われる山道を走った。
ニースの手前の山越えの途中、大雪に見舞われ。本当に南仏は春だろうかと不安だったが。
山を越えた途端、空は青く。何と言っても明るかった。
山のてっぺんにヒョロヒョロとしたミモザが1本立っていた。
「なーんや。。全山ミモザではないやんか」とぼやきながら進むうちに。
ありました。
左は地中海が青くきらめき。右手の低い丘に何キロも何キロも
見渡す限りのミモザの群れが。。。。嬉しかった。そして明るく暖かかった。

地中海沿いにスペインの方角に向けてまたひたすら走り。
カンヌから50kmほど離れた鄙びた街にアパートを見つけて
暮らし始め。毎日、毎日海岸でゆったり遊んだ3ヶ月。

ミモザを見るたびに、あの頃。。遊び呆けた毎日を懐かしくも。思い出すのです。




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Commented by pallet-sorairo at 2017-03-22 11:04
1973年、私も生まれたばかりの乳児を預けて
慣れない育児をしながらあくせく働いていたころ。
海の向こうに、こんな生き方をしている人がいるなんて
考えたこともありませんでした。
これからは、ミモザを見るたびに
この写真のfuskさんを思い浮かべることになりそうです。
Commented by nature21-plus at 2017-03-22 16:06
>ミモザを見るたびに、あの頃。。遊び呆けた毎日を懐かしくも。思い出すのです。

遠藤某という知人があります。。そして彼に「…そして僕はその壁の中になくてはならない点景となった。」という文章があります。。嫌な奴なんですが、彼のこの文章には人生を変えられてしまったと感じています。。

fuskさんの文章にも同じようなインパクトを感じます。。

Commented by fusk-en25 at 2017-03-22 18:05
> pallet-sorairoさん
赤ん坊を連れて?とみんな大変だろうと思われるのですが。
実際には子供に助けれることの方が多くて。
時代も良かったのでしょう。
南仏では、浜に行く途中の八百屋のお姉さんが必ず息子にバナナをくれたりして。
交通整理のおまわりさんが交通整理をやめて、息子と遊んだことも。。
長閑な毎日でした。
Commented by fusk-en25 at 2017-03-22 18:07
> nature21-plusさん
ある意味で、あの長閑な時代がなければ、今もここに住んでいなかった気はします。
Commented by ゆき at 2017-03-23 05:29 x
かってな想像ですが、fuskさんには異国でも暮らせる素地が存在してた気がします。私なら夫を失ったら 飛んで帰京したかも^^
日本で暮らしてたら...なんて、思うことありませんか。
数週間前 ミモザのスワッグつくりました。華奢なひと枝700円もするから高くつきました!木を見ると、なんでこんなに高い!のと、腹たつw
Commented by fusk-en25 at 2017-03-23 06:30
> ゆきさん
どうだろう?。。違う可能性の生き方をする岐路みたいなのはありますね。
この1973年の1年間の放浪暮らしがなかったら。。。
おそらくまた来ようとは思わなかったでしょうね。
と言っても日本が決して住みにくかった訳でもないんですよ。
誰に行けと言われた訳でもなく、勝手に来てしまったのだから。。
それでいてそうも困らなかった。。のが素地とすれば素地なんでしょうか?

日本は花は高い。高すぎる。果物も野菜も乳製品も。同じく高い。
と本当に思います。
その反面。ちょっとした外食が安い(ランチのような)
これはいいことなのか悪いことなのか?
作るより外で食べるになってしまいそうで。。
Commented by 日和 at 2017-03-30 15:58 x
鎌倉にある大好きなかき氷屋さんの隣のお家に立派なミモザがあって、それに憧れて、庭にミモザを植えました。
手入れがきちんとできていないせいか、剪定を失敗したのか、先端にしか花がついておらず、お写真のように、満開のミモザになるには、まだまだ、時間がかかりそうです。
Commented by fusk-en25 at 2017-03-30 19:10
> 日和さん
フランスは並木以外はあまり選定はしないみたいです。
桜も梅もボサボサに咲いていて樹形が悪いなんてぼやいたりします。笑。
by fusk-en25 | 2017-03-22 09:56 | 追憶 | Comments(8)